あおい

あおい (小学館文庫)

あおい (小学館文庫)

西加奈子の小説は「きいろいゾウ」を一番最初に読んだけど(そして大いに泣いた)、これはデビュー作ということもあってか初々しさと正直さがある小説だなと思った。解説が山崎ナオコーラで、彼女の文章がああー私もそれ思った!とドンピシャのことを書いていたので気持ち良かった。とりあえず、「ワキ剃ってないねん」はすごい。あと、場面の転換部分がやたら映像的な感じだった。
表題作ではなく「サムのこと」という話がじんわりと沁みてとても良かった。中盤以降ぐわーっときた。亡くなった友人の思い出話を通じて、自分たちの生活とか(働くのが嫌いで、日々ふらふら生きてるタイプの若者たちのグループ)、知ってるようで知らなかった自分たち自身のことを改めて知るというような話なんだけど、プロレスの話題とか靴紐を結びながらミートスパゲティを作ろうと思うくだりとか、妙にリアル。この人が書く主人公が男の子の小説もなかなか良いなあと思った。[4月:3冊目]