家守綺譚

家守綺譚

家守綺譚

17日読了。植物や妖怪の類が人間に近い距離のところで生活していて、それを自然のものとして受け入れて送る毎日。作品の時代は恐らく明治か昭和のはじめ辺り。舞台は京都のような気がする(吉田神社が出てきたので)。主人公は稼ぎの少ない文筆家。タイトルから受ける印象で、硬質なとっつきにくい作品なのかなーと思っていたけど、主人公が珍しく肉を買って帰宅しようとするんだけど後ろから犬がついてきたので(ぶら下げた肉を狙って)、頭の上に載せて帰宅した、というのが出てきて一気に引き込まれてしまった。かわいい、大人の男性なのに。あとで飼い犬となるゴローも聡明、きっと秋田犬か柴犬(これは私の個人的な趣味)。
それにしても、梨木香歩さんの作品を初めて読んだけど、こんなにも清潔感に溢れる、情景が浮かんでくるような文章を書く人なのかーと、うれしい収穫だった。(9月:4冊目)