つむじ風食堂の夜

つむじ風食堂の夜 (ちくま文庫)

つむじ風食堂の夜 (ちくま文庫)

月舟町という町にある「つむじ風食堂」に集う人々のお話。登場人物もそれぞれ個性があって憎めない(個人的にはデニーロの親父さんが好きです)。するする読めた。いいなー、文章も清潔感があって、ファンタジーかと思いきや現実感もあって絶妙なバランス感覚。ノスタルジー漂う優しい文章で、読みながら何か思い出しそうで思い出せない不思議な感覚を味わっていたのですが、さっきようやく判明しました。市川準監督の「トキワ荘の青春」だー。印象が、なんかあれに近いものがあった。物静かで丁寧で優しい視線みたいなものが。

電車に乗り遅れて、ひとり駅に取り残されたとしても、まぁ、あわてるなと。黙って待っていれば、次の電車の一番乗りになれるからって

と、珈琲屋の二代目店主が主人公に語るシーンがあるんですが、不覚にもちょっと泣きそうになりました…。大きな事件が起きるような話ではないけど、じっくりと沁み込んでくる良い小説でした。ほんのりと笑える部分もあったりして。あと小説の内容と、ちくま文庫のフォントが合ってる点も良かった。[7月:2冊目]
で、探していたら出てきたので「トキワ荘の青春」の動画を貼っておきます。

若かりし日のサダヲさんが出ていますね。この作品、涙が出るくらい大好きなのにDVDが出ていないのが悲しい。