ディア・ドクター

「ディア・ドクター」を観てきました。平日レイトショー。嬉しいことに1000円で観られました。

若干ネタバレしまーす。
嘘に嘘を積み重ねていった果てにできあがったものっていうのは、正義になるのかな悪になるのかな。
最初の方こそ不躾で失礼極まりなかった刑事が、徐々に真相を把握していき終盤にとある人物に放った一言がズシーンときました。嘘をつかざるを得ない状況を作り出してしまう集団の心理ってこわいなとも思いました。またそれがうまーく描かれてて、観ている側は徐々に追い込まれ苦しい気持ちにさせられる。中盤のあたり、「あ、これは」と観ている誰もが不自然さに気付くであろうエピソードがあるんだけれど、緊張状態が半端ない。私、今まで観た映画でここまで緊張したのは初めてかも…。恐らく現場にいたら間違いなく貧血をおこしていたと思う。
観ている最中は山の緑色や虫の鳴き声、落語のテープ、風で揺れる稲の青さが美しいのに、ぐっと苦しくなったりするんだけど、観て良かったなーと思いました。実は2、3か所泣きそうになった。八千草薫井川遥の母娘の背中のシーンは泣けた。あとは余貴美子香川照之(刑事と話をしている時のまばたき!)、やっぱりこの2人はすごかった。目の動きだけで観る人を緊張させてしまう圧倒的な力みたいなのがありますね…。香川さんのイスのシーンも良かった。鶴瓶さんも確かにすごかったなーと思ったけど、実は私の叔父の笑い顔が鶴瓶さんにそっくりなのはここだけの話です。あーやっぱり似てるわ、とアップになる度に思ってしまいました(映画に集中しろ)、なんて本人に言うと多分叱られるから言えない。因みに叔父はカメラとレコードと食玩オタクです。
本当に正しいこととか本当は悪いことって一体なんだろうなと考えながら、帰り道歩いていたら見事に電車を一本逃してしまいました。平日なのに帰りが24時過ぎ。あいたー。